kengo maekawa

ご報告

賢山窯 三代 前川賢吾が、令和7年7月23日、永眠いたしました。
生前は多くの皆さまに温かいお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。

大物ヨリコ造り(常滑市指定無形文化財 常滑焼工法)を要とし、長年にわたり大物の盆栽鉢や睡蓮鉢をはじめ、
晩年にはやきいも甕などを手掛け、やきいもブームを支えてきました。
その手仕事と信念は、これからも私たちの中で受け継がれていきます。

故人へのご厚情に深く御礼申し上げますとともに、
今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

賢山窯 一同
賢山窯

常滑 賢山窯

大正初期、大型の甕を焼くため、勝太郎(初代)によって常滑市北条に窯が築かれたのが賢山窯のはじまりです。
健一(二代)は、シャトル窯や土管機を導入。大量生産を可能にし、高度成長期の発展を支えました。
賢吾(三代)は、盆栽鉢をはじめ傘立て・園芸鉢など生産し、また伝統的「よりこ造り」の手法を活かし、水鉢・睡蓮鉢・水琴窟(すいきんくつ)用の甕・大きな陶製の浴槽など新たな商品を生み出しました。昨今は焼き芋にじっくりと火を通すための甕が注目され、国内で広く使われています。
淳蔵(四代)は、代々主力であった大物のみならず、食器や急須といったテーブルウェアを中心に日々作陶をし、国内をはじめ台湾や中国などお茶の文化圏で活躍しています。 また、常滑焼の伝統技法「よりこ造り」を引き継ぎ、やきいも甕など大物製品にも尽力しています。

よりこ造り

常滑では、甕・壺など大型の陶製品をつくる際、ロクロを使うことはありませんでした。その代わり先人たちは、粘土を紐状にして順次に輪づみにしていく方法を伝えました。甕の径や壺の高さが1m弱もあるような大形製品をつくる場合、粘土が柔らかく製造途中でつぶれてしまうという理由から、少しずつ輪づみを重ねながらつくっていきます。紐状の粘土を2段から3段積み上げては、崩れない程度になるまで半乾きにし、次の段を積み上げていくという工程を繰り返します。
次に積み上げた粘土の輪と輪の継ぎ目の接着を確実にするため、水で湿らせた布をかぶせます。継ぎ目の外側には押型をあてがい、両手でつぶすようにして力強く密着させます。
現在、こうした粘土の輪づみ技法は、「紐づくり」とよばれる特殊な技法として継承されています。粘土の紐といっても、太さが径10cmほどもある棒のようなものであり、これを手の先から腕、肩までかついだりしながら、自分自身が製品の外側を何回も後ずさりしながら廻って積み上げていく方法は、まさに人間ロクロのようで、その作業はたいへんな重労働を強いられます。常滑では甕の製造においてカワツギと呼んでいる木綿の布地以外、工具はほとんど使わずにつくりあげます。

つぼやきいも

近代から昭和にかけて常滑窯業を代表する製品となった土管は、昭和後期には最盛期を終え製造量が減少していきました。現在は、やきもの散歩道「土管坂」などの観光地を生んだり常滑の住宅の塀に使用されたりもしています。土管の需要はほぼ終わりを迎えたものの、陶で土管をつくる技術は培われ現在でも意外なかたちで継承されています。
前川製陶所では2014年ころから土管ロケットストーブを製造。それがきっかけとなりサツマイモを焼く壺「つぼやきいも」が生まれました。
焼き芋は江戸時代後期頃から現在まで、およそ200年以上つづいている日本のソウルフード。度々ブームとなり、品種・収穫後の熟成・焼き方などをこだわることでどんどんおいしくなっています。
そんなおいしい焼き芋を求め、焼き方にもこだわる事業者さんから「つぼやきいも」は支持されています。

オルト

六古窯 常滑焼

常滑焼の歴史はとても古く、平安時代末期から始まったといわれています。当時から知多半島特有の丘陵地斜面を利用した焼成窯が築かれ、今も常滑の地に眠っています。常滑は、瀬戸・信楽・越前・丹波・備前とならぶ日本六古窯のひとつに数えられ、中でも常滑は最も古く最大の規模を誇ります。
平安時代は主に宗教に基づく品がつくられ焼かれていましたが、室町時代には大衆の生活に必要な壺や瓶が多くつくられるようになりました。その後、海運業が発達し、太平洋岸一帯や瀬戸内海沿岸、日本海沿岸にまで運ばれていき全国へと流通していきました。
織田信長の時代には、禁窯令によって常滑に窯を築くことを禁じられ壊滅的な打撃を受けましたが、徳川時代後半になって復興を果たしました。そして、知多半島に広く分布していた陶業地は常滑の中心部に集まることになり、その頃は主に大衆向けの日用品を製造していました。なかでも、茶器や花器などの小細工物に名工といわれるつくり手が現れ、白泥焼、火色焼、さらには現在でも常滑を代表する朱泥焼を生むに至りました。
それからは窯も大型に改良され、江戸時代後期の陶工である鯉江方救により連房式登窯(真焼窯)が完成し、量産体制が整いました。
明治以降は、鯉江方寿(方救の息子)が中心となり土管を完成させ、建築陶器・衛生陶器・植木鉢などの生産が増え、国の近代化を支えました。
現在は、常滑が得意としていた大物製品の製造量は減少しましたが、その技術は受け継がれ甕や鉢づくりに活かされています。

オルト

前川 淳蔵

Junzo Maekawa

1976年 愛知県常滑市に生まれる。京都伝統工芸専門学校卒業後、赤津焼の窯元を経て前川製陶所に入所。
めし碗グランプリ 入選、瀬戸市美術展 入選、長三賞陶業展 入賞、お茶漬けの日企画 茶漬け展 金賞、とこなめ焼振興展 内閣総理大臣賞 受賞など精力的に作陶を続ける。
以後、海外での出展も果たし台湾国際金壺奨にて茶芸推薦賞を受賞。
父 賢吾の大物製品づくりをサポートしながら、主に茶器をつくる。

オルト

前川 妙子

Taeko Maekawa

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1976年 東京都に生まれる。工業高校と美術短期大学でデザインを学ぶ。
(株)たち吉の嘱託契約デザイナーを経て瀬戸染付を修得。
その後、四代 淳蔵と結婚し前川製陶所で作陶をはじめる。
2015年 台湾の秋山堂にて展示会開催
2023年 常滑市美術展 教育委員会賞受賞

オルト

前川 賢吾

Kengo Maekawa

1947 常滑市に生まれる
1965 愛知県立常滑高等学校窯業科 卒業
1968~1970 日本青年海外協力隊の業技術指導員としてフィリピンへ渡る
1975 三代目 前川製陶所を承継
1985 水琴窟用甕をつくりはじめる
1994 伝統工芸士認定
2004 中部国際空港(セントレア)に大型プランターを納入
2007 あいち技能マイスターに認定される
2010 とこなめ焼陶業振興展内閣総理大臣賞受賞 この他長三賞陶業展振興展など受賞
2013 常滑市指定無形文化財常滑焼工法「大物ヨリコ造り」の保持者として認定
2018 瑞宝単光章を受賞
2025 7月23日 永眠
オルト

大正初期創業
賢山窯 前川製陶所

〒479-0833
愛知県常滑市北条4丁目64
電話番号 0569-35-3203
受付時間 9:00~17:00

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